いいモノを作るだけでは売れないー伝えることが大切ー

「いいモノを作れば売れる」そう思っている人は多いと思います。

しかし、いいモノを作った「だけ」では絶対に売れません。
なぜかというと、顧客に知ってもらわないと買ってもらえないからです。

人は知らない物は買えないんです。

当たり前のことですね。

ですが、この当たり前のことを認識できていない企業が、実は多く存在しているのです。
特に技術力、開発力があると自信のあるメーカーでは、よくあることだったりします。

購買行動プロセスは知ること「認知」から始まる

上述の通り、どんなにいいモノであっても、知られてなければ買ってもらえません。
購買行動プロセスの最初は、知ること・認知から始まるのです。

ここで、購買行動プロセスのモデルについて簡単にご紹介しておきます。
有名な購買行動プロセスにはAIDMAの法則があります。
AIDMAは以下の頭文字となっています。

A:Attention(注意)
I:Interest(興味)
D:Desire(欲求)
M:Memory(記憶)
A:Action(行動)

なお、この5つのプロセスは、さらに認知段階、感情段階、行動段階の3つに分類されています。
それぞれの段階に対応するプロセスは以下となります。

認知段階:A(注意)
感情段階:I(興味)、D(欲求)、M(記憶)
行動段階:A(行動)

つまり、購買行動プロセスは認知から始まるということです。
なお、AIDMA以外にもAISASやAISCEASなどいろいろとありますが、全て最初はA(注意)・認知段階から始まります。

本当に当たり前のことですが、買ってもらうためには、まず知ってもらうことです。
そのためにはWebサイトや広告、展示会、メールなどで情報・メッセージを発信する必要があるのです。

価値を正しく伝えて興味を持ってもらう

情報・メッセージを発信して商品・サービスを知ってもらうのは重要ですが、ただ単に商品名やサービス名を知られればよいというものではありません。
その商品・サービスがどのようなものであるかを知ってもらい、興味関心を持ってもらう必要があります。
AIDMAでいうI(興味)、そしてD(欲求)に繋げる必要があります。

そのためには発信する情報・メッセージが顧客にとって魅力的でなければいけないわけです。

ここで注意しなければならないのは、売る側の視点で機能やスペックを発信してもダメだということです。
それは売る側の独りよがりなメッセージとなって、顧客にとっては「だから何?」というような内容となってしまいます。

そうではなく大切なのは、その商品・サービスが顧客にとってどのような「価値」があるかを伝えることです。
「価値」とは、顧客のニーズに応えること・課題を解決することです。

BtoBビジネスの例

例えば、営業管理システム(SFA)について考えてみましょう。

機能の説明:
このSFAは、顧客情報、案件情報を管理でき、データをグラフ化してみることができます。

価値提案:
このSFAでは、顧客情報、案件情報を全社的に共有できるので、知識や情報を共有化できます。また、営業プロセスを見える化できるので、どこにボトルネックがあるかを把握し、効果的な対策が打てるので、営業効率を上げ、売上向上につながります。

どちらがより顧客に訴求ができるかというと、後者ではないでしょうか。

また、自社の商品・サービスが提供する価値を顧客にとって分かりやすく、端的に伝えることが大切です。
専門用語や難解な言葉を使うのではなく、顧客にすぐ理解してもらえる表現にするべきなのです。

誰に伝えるのか?ターゲット顧客はだれか?

どのような価値があるかを伝えるためには、誰に伝えるのかというのも重要になってきます。
つまりターゲット顧客の設定も大切です。

なぜならターゲット顧客が誰か、どのようなニーズを持っているかによって、訴求する内容も変わってきます。
また、伝えるためのメディア・媒体も変わってくるのです。

ターゲット顧客の心に響く伝え方、メッセージにすることが大切です。

まとめ

どんなにいいモノでも、顧客に対して価値があり、その価値を伝えられなければ買ってもらえません。

「誰に対して」「どのような価値を」「どのように伝えるか」が重要なのです。

いいモノを作っているのであれば、その良さを分かってもらうために「伝える」ということもとても大切なことなのです。

 

自社の強みと弱みをどう分析するべきか

日本において、経営戦略やマーケティング戦略を考えるときによく使われるフレームワークにSWOT分析があります。

SWOTとは、SWOTは、Strengths:強み、Weaknesses:弱み、Opportunities:機会、Threats:脅威、それぞれの頭文字をとっています。
自社の内部環境(強みと弱み)と外部環境(機会と脅威)を分析するものです。

最近では企業の戦略策定だけではなく、就職活動時の自己分析で使われるケースも増えているので、なじみのある方も多いと思います。

しかし、このSWOT分析を行うと、ほとんどの方が悩んでしまうことがあります。
それは、強み、弱みをどう分けるか、ということです。

具体的な例で見てみましょう。

企業規模が小さいことは弱みか?

例えば、私は以前、パッケージソフトウェアを開発販売している小規模なベンチャー企業に勤めていました。

では、そのベンチャー企業の「小規模」ということは、一般的には「弱み」と認識されます。
しかし本当にそうでしょうか?

確かに大企業に比べ、経営資源が少ないので「弱み」と考えられます。
しかし、意思決定が早くスピード感があるという意味では「強み」ともいえます。

大規模な仕組みや安定感という価値を求める顧客に対しては、小規模は「弱み」になるかもしれません。
しかし、フットワークが軽くて柔軟に対応してくれるという価値を望む顧客に対しては、小規模は「強み」になり得るわけです。

もう一つ、違うポイントも見てみましょう。

自社パッケージソフトの開発販売していることは、強みでしょうか?弱みでしょうか?
一般的に、自社オリジナルの製品があることは「強み」といえます。
しかし、「他社の製品を扱えない」という制約がつくため「弱み」となることもあります。

例えば、安くて使い勝手のいいパッケージ製品を探している顧客に対しては、「強み」になります。
しかし、自分たちの要望に合わせた柔軟な対応に価値を求める顧客に対しては、「弱み」にもなりえるのです。

強みと弱みは表裏一体

上記の例でお分かりだと思いますが、強みと弱みは表裏一体の関係なのです。
強みと思っていることは弱みにもなり、弱みと思っていることが強みにもなるのです。
視点、切り口にによって、どちらにもなり得るのです。

「小規模」「パッケージメーカー」というのは、あくまでも特徴でしかないのです。
それ自体では、「強み」とも「弱み」とも言えないのです。

そのため、経営戦略を立てようとSWOT分析を行ったとしても、その特徴を「強み」にすべきか「弱み」とすべきか悩んでしまうわけです。
なお、機会と脅威に関しても同様のことが言えます。

それでは、自社の強みを考える場合どうすればよいのでしょうか?

強みは顧客と競合によって決まる

では、どのような視点・切り口で強みを見つければよいのでしょうか?
それには2つのポイントがあります。

1つ目は自社が「誰に」対して、「どのような価値を提供」するかです。
つまりは、ターゲット顧客です。

2つ目は顧客が自社と、「誰と」を比較しているかです。
つまりは、競合他社との対比です。

「自社」では強みと思っていている点でも、「競合」のほうがその点で優れていると「顧客」が判断すればそれは強みではなく弱みになります。
「強み」とは顧客に対して、競合と比較された場合の、優位性・差別化ポイントなのです。

そして、「顧客」あるいは「競合」が変われば、強みも変わってくるということです。
3C分析の記事でも書きましたが顧客・競合・自社は密接に関係しているのです。

強みは提供する価値の差

強みを考えるうえで、もう一つ気を付けなければならないことがあります。
それは、強みとは機能やスペックの差ではなく、提供する価値の差だということです。

技術力のあるメーカーなどでは特にその罠に陥りがちなのですが、どうしても機能やスペックで勝負しようとしてしまいます。
しかし、顧客が求めているのは、機能やスペックではありません。
その商品・サービスが自社の課題をどのように解決してくれるのか、どのようにニーズを満たしてくれるのかという「価値」を求めているのです。

とても機能が充実しているシステムであったとしても、顧客企業がその機能を使い切れないのであれば価値はないのです。
もしかすると、余計な機能が付いている分、ユーザインタフェースが複雑で使い勝手が悪くなり逆にマイナスになってしまうこともあり得るのです。

したがって、自社の商品・サービスが顧客にとってどのような価値を提供できるかを見極め、その価値を提案することが重要なのです。

ぜひ自社の視点だけではなく「顧客」「競合」との関連性を把握し、自社の強み・優位性は何かを考えて、価値提案を行ってください。

「顧客」「競合」「自社」の関係についてはこちら

なぜターゲット絞る方が顧客数が増えるのか

前回、ターゲティングの重要性とセグメンテーションについてお伝えしました。

ターゲットを絞ることが重要だというと、「絞ると顧客が減ってしまう」と心配される方が多くいます。
しかし、正しくターゲットを絞ると、顧客は減らずに増えます。
逆にターゲットを絞らず万人受けを狙うと、顧客は減ってしまう可能性が高いのです。

それは、なぜか?
現代では物も情報も溢れており、顧客のニーズ・課題も多様化しています。
そんな中で「万人受け」するものなどあり得ないからです。

仮に「万人受け」を狙ったものは、結局ポイントがぼやけてしまいます。
そして、ターゲットを絞って専門化した競合に負ける可能性が高くなってしまうのです。

ランチで考えてみると

具体的な例として、ランチで考えてみましょう。

3C分析の記事でも書いたようにランチタイムでも、いろいろなニーズがあります。

例えば

  • ランチはさっさと終わらせたいという忙しいサラリーマン
  • 同僚とゆっくりおしゃれな雰囲気で食事したいと思う女性
  • 安くてお腹いっぱい食べたいと考えている学生

これらの人全員を満足させられることはできるでしょうか?

「うちの店は、和洋中何でもそろっていて、おいしくて安くて早くて量が多くて、でも店内の雰囲気はおしゃれでゆったりしています」

という店はあり得ないですよね。
さっさと立ち食いソバを食べるサラリーマンが集まる店が、ゆっくりおしゃれな雰囲気にはならないのです。

そして、近隣にある立ち食いソバ屋やおしゃれなイタリアンなどに、上記の顧客は取られてしまいます。

もう少し絞ってラーメン屋さんでは

ランチだと広すぎるということで、もう少し絞ってラーメン屋さんを考えてみましょう。

「老若男女問わず万人受けを狙うラーメン屋」と「ターゲットを絞った専門的なラーメン屋」で勝負した場合どうでしょう?
おそらく「万人受けを狙うラーメン屋」は勝てないでしょう。

独自性のあるラーメン二郎

ラーメン二郎はそのボリュームや味付けなど、かなり独自性のあるラーメン屋さんです。

ラーメン二郎のメインターゲットは、お腹を空かせた大食いの大学生です。
そのメインターゲットに合わせたボリューム、味付け、値段、店づくりとなっています。

そのため女性や家族連れなどは、ほとんど来店しないでしょう。
つまり、ターゲット以外の顧客は、ある意味捨てているのです。

しかし、ラーメン二郎は学生を中心とした顧客によって、連日長蛇の列ができています。
「ジロリアン」と呼ばれたり熱狂的なファンがいるほどです。

女性向けラーメン

逆に、女性向けのラーメン屋さんも最近増えてきています。

それらのお店ではヘルシーさやおしゃれな店舗づくりなどにより、他のラーメン屋さんには入りづらいと考えている女性顧客を獲得しています。
そしてラーメン二郎とは逆にボリュームを求める学生は、あまり入らないでしょう。

上記の例のようにターゲットを絞って、専門性、独自性を追求することで、そのターゲット層に強く訴えかけることができます。
そして、他店との明らかな差別化を図れるため、顧客を獲得することができるのです。

 BtoBでも同じこと

例えばWebサイト制作会社で考えてみましょう。

「うちの会社はお客様の要望に合わせてどんなWebサイトでも制作します!」

というのと、

「うちは飲食店専門のWebサイト制作会社です。飲食店ならではのニーズにお応えし、料理の写真を撮る専門のカメラマンもいて・・・」

といった2社がいたとします。
どちらの制作会社が飲食店のオーナーに響きやすいかというと、おそらくターゲットを絞り専門性を訴求した後者の方でしょう。
※飲食店専門というのはあくまでも例です。さらに絞る必要があるかもしれません。

大企業であればある程度「様々な顧客の要望にも合わせる」ことは可能かもしれません。
しかし、リソース(資源)の少ない中小企業では、全方位的な対応はまずできません。
そのため、ターゲットを絞り、そこに関しては大企業にも負けないノウハウを貯めることで顧客に選んでいただくことができるのです。

このように「広く浅く」でははなく、「狭く深く」攻めたほうが顧客の心に響く提案ができ、顧客を獲得できるのです。
そして、「狭く深く」追求したノウハウは、類似のターゲット層に横展開できる可能性も出てきます。
先ほどの飲食店の例でいえば、他の専門店を新たにターゲットにすることができるかもしれません。

まとめ

なぜターゲットを絞ることが顧客増加に繋がるのか。
そのまとめです。

  • 顧客のニーズは多様化しており、万人受けするものなどあり得ない
  • ターゲットを絞らないと、ターゲットを絞った専門性のある競合には勝てない
  • 狭く深く追求すれば、別のターゲット層にも横展開できる

ただし、ターゲティング(ターゲットの絞り方)を間違えないようにしなければなりません。
狭すぎてそもそもの母数(見込み客の全体数)が減ってしまったり、逆に広すぎて顧客に響く提案ができなかったりする可能性もあります。

企業の目的は収益を上げることですから、適切なターゲット層と見つけ出しましょう。
そのためにはまず自社の提供する価値を把握し、その価値に対して適正な対価を払ってくれる顧客を見つけることが重要です。

ターゲティングとセグメンテーションの考え方はこちら

提供価値についてはこちら

ターゲティングの重要性とセグメンテーションの考え方

マーケティング戦略を考えるうえで、まず最初に考えなければならないのがターゲット顧客の設定、ターゲティングです。
つまり、誰に売るのか、を明確にするということです。

なぜターゲティングが必要かというと、3C分析の記事でも書きましたが、その人や企業によってその商品・サービスに対して感じる価値が違うからです。
せっかく売るのであれば、自社の商品・サービスの価値を高く評価してくれる人・企業に売る方がよいですよね。

例えば、立ち食いソバ屋は、早く安く食べられることを求めている忙しいサラリーマンをターゲット顧客に考えるでしょう。
立ち食いソバ屋が、ゆっくり食事を楽しめおしゃれな雰囲気を求める女性をターゲットにしていくら宣伝しても無駄なのです。

この例はちょっと極端ですが、自社の商品・サービスの価値を評価してくれるターゲット層に対してマーケティング活動を行わないと、効果的なマーケティングは行えません。

ターゲット顧客に対するマーケティング活動

そして、マーケティングは広告宣伝のことだけではありません。
マーケティングとは、顧客に提供する価値を最大化し、その対価を得るための全ての活動です。

ですので、ターゲット顧客に対して価値を最大化するために、商品開発、販路、広告宣伝、営業など、あらゆることを考える必要があります。
ターゲット顧客が価値を感じる商品を開発し、ターゲット顧客が認知しやすいメディアで広告宣伝を行い、ターゲット顧客が買いやすい売り方をするなど、様々なことを最適化する必要があるのです。

ターゲット顧客が変わるとそのすべてが変わってきます。
だからこそ、ターゲティングはマーケティング活動において、重要なのです。

では、どのような顧客をターゲットとすべきでしょうか?
それは、相思相愛の関係になれる相手、といっていいでしょう。

セグメンテーションを考える

ターゲティングをするうえでまず必要になるのが、顧客をグループに分けることです。
これをセグメンテーション(セグメント化)と言います。

よく20代女性をターゲットしている、なんてことを聞くと思います。

この時には、年代性別によってセグメンテーションしているわけです。
この20代女性、30代女性、20代男性というように分けたグループをセグメントと言います。
そして、その中で「このセグメントを狙う」、と決めることがターゲティングです。

セグメンテーションは属性ではなくニーズで

従来は上記のような、年齢性別、あるいは地域といった属性情報でセグメンテーションが行われることが中心でした。
企業でいうと、業種や業態、資本金、売上高、従業員数などでセグメンテーションすることが多いと思います。

しかし、20代女性と言っても、学生と社会人、専業主婦では欲しいものが違うはずです。
企業でも、中堅製造業と一口に言っても、ニーズは異なります。

特に情報があふれ、多様化している現代社会においては、人も企業も多様化しています。
そこで従来の属性で切るようなセグメンテーションでは、対応しきれなくなってきています。

では、何でセグメンテーションするべきなのか?
それはニーズ、課題です。

顧客はニーズを満たすため、課題解決のためにあなたの商品・サービスを購入します。
ニーズを満たす、課題解決することことに価値を感じ、それに対して対価を払うのです。

したがって、業種や企業規模ではなく、「こうしたい」「こういう課題を解決したい」というニーズで切るべきなのです。

ニーズを考えた結果として属性でセグメンテーションすることもある

そのニーズでセグメンテーションする際に、結果として業種や企業規模も関係してくるかもしれません。

例えば「組織のコミュニケーションを活性化するITツール」は、少人数の企業だともともとコミュニケーションが活発なので価値が提供できず、人数が多くて縦割りの組織になっている大企業の方が価値を感じてくれるかもしれません。
その場合は、従業員数もセグメンテーションの切り口となるでしょう。

しかし、それはあくまでもニーズを考えた結果として、その属性を選ぶということです。
同じに聞こえるかもしれませんが、最初から属性で選ぶのとでは、考え方がまるで違います。
そこには、「どのようなお客様であれば自分たちの商品・サービスが価値あるものとなるのか」という顧客目線が含まれているからです。

お客様目線で考え、お客様にどのような価値を提供できるかを突き詰めて考えれば、相思相愛になれるターゲット顧客が見えてくるのではないでしょうか。

ターゲットを絞る方が顧客が増える理由はこちら

顧客・競合・自社の相互関係を見極めよう(3C分析)

自社のビジネスに密接に関係するのが、顧客と競合他社の存在です。

当たり前のことですが、自社の商品・サービスを欲しいと思う顧客がいなければ売れません。
そして、顧客がいたとしても、その顧客は自社と競合他社を比較し、どこから購入するかを決定します。
顧客の視点から見るとと、どれが自分にとって価値があるかを比較、判断しているわけです。

当然ですが顧客によって価値の基準が変わります。
そして、顧客によって比較する競合企業も変わる可能性もあります。
また、競合の状況によって、顧客が自社の商品・サービスを選ぶのか、競合他社を選ぶのかが変わります。

このように自社のビジネスにとって、顧客と競合他社というのは密接に関係しています。

3C分析

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から分析する手法は3C分析と呼ばれ、マーケティングにおいて基本となる考え方・フレームワークです。

3c

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つは密接に絡み合っています。
これは難しい理論というわけではなく、ごく当たり前の考え方だと思います。

当たり前の考え方なのですが、逆に当たり前すぎて深く考えてこなかった方もいるかと思います。
せっかくですので、もう少し詳細に見ていきましょう。

同じものでも顧客によって価値は変わる(顧客⇒自社)

まず、顧客と自社の関係についてみてみましょう。

当たり前ですが、同じものを売っていても買う人と買わない人がいます。
それは人によって、その商品・サービスに対して感じる価値が違うからなのです。

 

ランチのお店の例

例として、ランチを食べるときのことを考えてみましょう。

ランチを食べられるお店は、ソバ屋、定食屋、イタリアン、ハンバーガショップ、牛丼屋などいろいろな選択肢があります。
さらにはコンビニや弁当屋で、弁当を買うという選択肢もあります。
そのような様々な選択肢の中から、お客様はそれぞれの価値基準にあわせて選ぶのです。

ランチはさっさと終わらせたいという忙しいサラリーマンは、立ち食いソバ屋や牛丼屋など、早く食べられるところを選ぶでしょう。
同僚とゆっくりおしゃれな雰囲気で食事したいと思う女性であれば、おしゃれなイタリアンなどを選ぶことが多いでしょう。
安くてお腹いっぱい食べたいと考えている学生であれば、牛丼屋やご飯お代わり自由の定食屋を選ぶかもしれません。

このように顧客によって、求めている価値は大きく変わり、選ぶ店も変わってきます。
つまり顧客によって、競合も変わってきます。
だからこそ、ターゲット顧客を選定し、そのターゲット顧客に対して競合よりも自社の商品・サービスの方が価値が高いことを訴求すべきなのです。

立ち食いソバ屋なのに、ゆっくり食事を楽しめおしゃれな雰囲気を求める女性にいくら宣伝しても無駄なのです。

顧客は常に比較している(顧客⇒競合・自社)

ターゲット層に自社の商品・サービスを知ってもらったとしても、それで買ってもらえるわけではありません。
顧客は常に競合他社と比較し、自分にとってどちらが価値があるかを考えています。

立ち食いソバ屋の例

先ほど例に出したので、立ち食いソバ屋で考えてみましょう。

直接的な競合としては他の立ち食いソバ屋です。
近くに競合の立ち食いソバ屋があったとすると、お客様は値段や味、ボリューム、店の混み具合、店の雰囲気など様々な比較をするでしょう。
同じ立ち食いソバ屋であっても、これほどさまざまな比較ポイントがあります。

では、周りに他の立ち食いソバ屋がなかったとします。
直接の競合がないから安心かというと、そうとも限りません。

立ち食いソバの価値・魅力は、早い、安いということが挙げられます。
隣に牛丼屋があったとすると、早い、安いという同じ価値を提供しているため競合となってきます。
早くて安いランチ、という価値」求める忙しいサラリーマンは、ソバ屋と牛丼屋を比較するのです。

そして、牛丼屋ではなく立ち食いソバ屋を選ぶ理由としては、「牛丼よりカロリーが低いから」ということかもしれません。
そうであれば、「早い・安い」に加えて「ヘルシー」という価値を訴求すれば効果的なのかもしれません。

競合となるのは同じ物を売っている直接的競合だけではなく、同じ「価値」を提供している間接的競合も含まれていることを忘れないでください。

BtoBでも同じこと

この考え方はBtoBにおいても同じです。

例えば、自社が営業管理システム(SFA)を販売しているとします。
この場合、ターゲットは営業に力を入れている企業と考えられます。
下請け中心で、取引先が少数の企業にとっては、得られる価値が少ないかもしれません。

世の中には様々な営業管理・SFAの製品・サービスがありますので、顧客企業はそれらを比較します。
比較基準としては、機能や価格だけでなく、使いやすさ、メンテナンスしやすさ、サポート体制なども含まれてくるでしょう。
そして、自社の製品が、競合製品よりも価値が高いと判断されれば購入してもらえるのでしょう。

しかし、ここで顧客企業が本当に求めるもの(課題・ニーズ)を考えてみましょう。
それは、売上拡大であることが多いと思われます。

すると、ある企業は営業管理システムよりも、そもそも営業の教育の方が重要と考え営業研修を受けさせた方がよい、と考えるかもしれません。
あるいは、広告宣伝に力を入れたほうがよい、と考える企業もあるかもしれません。

顧客企業が求める価値(課題・ニーズ)によっては、研修会社や広告代理店も競合となってくる可能性がありわけです。
そうなると自社の営業管理システム(SFA)を選んでもらうためには、異業種の競合よりも、より高い価値を提供できるものであることを訴求する必要があります。

それは、「営業支援システムを導入することで、営業活動の効率化はもちろん、営業プロセスを見える化することで営業活動の継続的な改善が可能となります。短期的な売り上げではなく、長期的に売れる仕組みを構築できます」ということかもしれません。(あくまでも例です)

このように、顧客が変われば競合が変わってきます。
また、競合が変われば、訴求ポイントも変わってきます。

このように、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つは密接に絡み合っています。
経営戦略を立てる際にはまずこの3C分析を行ってみてください。

課題解決=ソリューションが価値の提供となる

これまで、物を売るのではなく、提供する価値を向上させることが重要とお伝えしました。
また、価値を向上させるのは機能アップだけではなく、価値を向上させる様々な方法があることもお伝えしました。

今回は、その「提供する価値」が何を意味するのかについて、考えてみたいと思います。

価値とは何なのか

では、そもそも「価値」とは何なのでしょうか?

私は「価値」とは、「課題解決により顧客が得られる喜び」、だと考えています。

「課題解決」というとちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、「ニーズを満たす」と置き換えていただいてもけっこうです。
課題≒ニーズと考えてけっこうです。

課題解決(ソリューション)こそが価値を提供すること

我々が日常的にお金を払っている行為も課題解決のためなのです。

例えば、マッサージに行くとします。

マッサージにいくのは、
「日頃のストレスを解消する」
「筋肉をほぐして疲労回復する」
「頭をすっきりして仕事に集中する」
というような、課題解決を行うためにお金を払うわけです。

お客様が困っていることや悩んでいることを解消する、望んでいることや求めていることを満たす、あるべき姿とのギャップを埋める。
このような課題解決を行うことで、お客様は喜んでくれます。
そして、お客様は価値を感じ、対価を払ってくれるのです。

BtoBでの課題解決(ソリューション)

「課題解決」は、「ソリューション」とも言い表されています。
BtoB企業では、最近よく聞く言葉ではないでしょうか。
そういう意味で課題解決(ソリューション)は、BtoCよりもBtoBの方がイメージしやすいかもしれません。

具体的な例として、Webサイト制作について考えてみましょう。

Webサイト制作を依頼するのは、
「自社の商品・サービスの情報を発信し認知度を高める」
「問合せを増やし、リード(見込み顧客)を獲得する」
「ECサイトで直接販売を行う」
というような課題を解決するためです。

したがって、受注する側の制作会社のソリューションは
「顧客企業の商品・サービスの情報を多くの人に届ける」
「顧客企業のリード(見込み顧客)獲得につなげる」
「顧客企業の売り上げを拡大する」
となります。

Webサイトを作ることに対してお金をもらっているのではないのです。
顧客企業の広告宣伝、新規顧客獲得、売り上げ拡大に貢献することで顧客企業に喜んでいただき、その対価としてお金をもらっているのです。

より大きな課題を解決できれば、提供する価値が上がり、得られる対価も大きくなるわけです。

そこで、顕在的課題と潜在的課題を意識する必要が出てきます。

顕在的課題と潜在的課題

顕在的課題:顧客がすでに認識している課題
潜在的課題:顧客がまだ認識できていない課題

どちらを解決できればより価値があるかというと、潜在的課題です。

具体例として、先ほどと同じWebサイト制作について考えてみましょう。

顧客企業から「問合せを増やしたいからWebサイトをリニューアルしたい」と依頼があったとします。

その時の顕在的課題は、
「Webサイトをリニューアルし、PV数(閲覧数)を増やし、問い合わせを増やすこと」
だと考えられます。

そして、その顧客企業の要望に合わせ、様々なノウハウを活かして、Webサイトをリニューアルして問合せを倍に増やせたとします。
それは顧客企業の課題解決になったので、喜ばしいことです。
顧客企業からも評価されるでしょう。

潜在的課題まで考えよう

しかし、その後、実は問い合わせ数は倍に増えたけれども、案件数は20%しか増えていなかったとしたらどうでしょうか?

それは本当の意味での課題解決にはなっていないわけです。

理由として、倍増した問合せの質が悪かったとしたら、Webサイトの訴求ポイントに課題があるのかもしれません。
新規の問い合わせに営業部門が対応しきれていなかったとしたら、それは営業プロセスに課題があるのかもしれません。

このような結果は、本質的には顧客企業にとって意味がないものとなる可能性があります。
そうならないためには、顧客の潜在的課題を導き出し、それに対しての解決策(ソリューション)を提案すべきなのです。

顧客企業からWebサイトをリニューアルしたいという要望を聞いた際に、
「問い合せを増やすことだけが課題なのか?」
「案件化すること、そして新規顧客を獲得することが本来の課題ではないのか?」
と潜在的課題を考え、顧客に確認してみましょう。

そのような潜在的課題を把握できれば、
「問合せを増やすことだけを考え、煽るようなメッセージではなく、ターゲットユーザに響く内容にしましょう」
「御社の営業プロセスを効率化するために、このシステムも導入したほうがいいです」
といった、潜在的課題に対するソリューションも提案できるかもしれません。

すると顧客は「まさにその通りだ」と、顧客は喜んでくれ、あなたに対する信頼感が増します。
そして、当初より多くの対価を払ってくれる可能性もあるのです。

このように課題解決は顕在的課題だけではなく、潜在的課題を見つけ出すことを意識しましょう。
お客様により喜んでいただくことで、いただく対価も増えるのです。

提供する価値を向上させる様々な方法

企業が収益を上げる、儲けるためには、提供する価値を向上させなければなりません。
なぜなら、顧客は商品・サービスそのものではなく、それがもたらす価値に対価を払っているからです。

 

パソコンを買うのは四角い箱が欲しいのではなく、
メールで連絡を取ったり、
情報を調べたり、
資料を簡単に作成したり、
とパソコンを使うことによって得られる価値を求めているのです。

したがって、売上を上げるためには物を売るのではなく価値を提供することが重要になってきます。
そして、その価値を提案すること(バリュープロポジション)こそが大切なのです。

つまり、顧客に対して提供できる価値を向上させることができれば、より儲けることができるということです。
だからこそ、顧客に提供する価値を向上させることが、企業にとっては最重要事項となるのです。

価値を向上させるのは機能だけではない

では、提供する価値を向上させるにはどうすればよいでしょうか?

パッと頭に浮かぶのは、その商品の機能を強化することかもしれません。
もちろん機能を強化できれば、価値を向上させられる可能性は高いです。
しかし、価値を向上させるものは機能だけではないのです。

機能、スペックで比較しやすいものでいうと、ノートパソコンがあげられます。

CPUやメモリ、ディスプレイの大きさや重さなど、数値で比較できる要素が多くあります。
しかし、パソコンを購入する際、そのようなスペックだけで選ぶわけではありません。

例えばデザインも選ぶ際の重要な判断基準になりえます。
つまり見た目で価値が変わるのです。

また、名前も知らないようなメーカーの製品と、有名なブランドではお客様が感じる価値は変わります。
そこには、安心感やそのブランドに対する愛着など、スペック以外の要素が絡んできます。

また、企業がノートパソコンを購入するのであれば、さらに条件が増えてます。
これまでの取引実績や業者との信頼関係、サポート体制など、より複雑な要素が絡んでくるのです。

このように価値を決める要素は、機能と価格だけではないのです。

売り方でも価値は変わる

また、提供する価値は売り方によっても大きく変わります。

もし、人にとっての価値が物だけなのであれば、まったく同じ物は一番安く売っている店で買うはずです。

しかし、多くの人がコンビニで商品を買っています。
コンビニは決してその商品を最も安く買える場所ではない、にもかかわらずです。

なぜ、同じ商品が他の店舗で安く売られているにもかかわらず、コンビニで買うのでしょうか?

コンビニが提供する価値

来店客それぞれの価値基準によって、その理由はいろいろです。

「夜中でも開いているから」(時間的な価値)
「帰り道にあるから」(位置的な価値)

などが、まず考えられます。
それらも大きな要因ですが、開店時間や場所という物理的な条件のみでもないのです。

コンビニでカップラーメンを買う理由

例えば、昼食用にカップラーメンを買うとします。
コンビニでは180円で売られていて、すぐ近くのスーパーで同じカップラーメンが130円で売られています。

50円も差があるので、価格だけでいえばスーパーで買った方がお得です。
それでも、コンビニで買うケースがあります。

コンビニでは、その場でカップラーメンにお湯を入れることができます。
これが理由となってコンビニで買うこともあります。

顧客はカップラーメン自体が欲しいのではなく、食べて空腹を満たし、満足感を得られるという価値に対価を払っているのです。
そして、食べるためには、まずカップラーメンにお湯を入れて3分待つ必要があります。

例えば、オフィスに給湯室がなくてお湯が手に入らない人は、スーパーでカップラーメンを買っても食べられないわけです。
であれば、ちょっと価格高くてもすぐにお湯を入れられるコンビニで買った方が、その人にとっては価値が高いのです。

最近ではイートインコーナーを設け、その場で食べられるコンビニも増えてきました。
カップラーメンにお湯を入れて、その場で食べられると便利です。
このイートインコーナーについても、お客様が次に行う行為を手助けすることで、価値を高めています。

まとめ

このように、商品を購入したお客様がどのような使い方をするのかに頭をめぐらし、次の行動を手助けする、より使いやすくすることでも価値を向上させられます。
そして、受け取れる対価、つまりは顧客単価を上げることができるのです。

価格競争に陥って、利益が出ないと悩む企業は多いです。
そのような時は、自分たちが売っている物、ではなく提供している価値は何なのかを突き詰めて考えてみるとよいです。
そうすると、今まで気づかなかった切り口でのアイデアが出てきやすくなるのではないでしょうか?

なぜ物を売るのではなく価値提供が重要なのか

お客様が求めているものは、何なのかについて考えてみましょう。
お客様は製品そのものが欲しいのではなく、得られる価値を求めているのです。

別の記事「マーケティングとは、つまり何なのか?」でも書きましたが、マーケティングの世界で有名な言葉があります。

ドリルを買う人がほしいのは穴である

この言葉は1968年に出版されたセオドア・レビット教授の著書「マーケティング発想法」で紹介されています。
マーケティングの世界でもっとも有名とも言える言葉となっています。

ドリルを買う人はドリルという製品そのものではなく、その製品によってもたらされる結果、『価値』がほしいわけです。
そして、お客様はその対価としてお金を払ってくれるのです。

したがって、物を売るのではなく、どのような価値を提供しているかが重要であり、その価値を提案すること(バリュープロポジション)が必要となってくるのです。

もう少し身近な例で

先ほどのドリルは普段買うものではないのでイメージしにくいかもしれませんね。
もう少し身近な例でみてみましょう。

では、誰もが絶対に行う食事について考えてみましょう。

ラーメン屋で考えてみると

例えば、ランチにラーメン屋さんでラーメンを食べるとします。
ラーメンを食べるためにみなさんはお金を払います。
それはなぜでしょう?

それはラーメンそのもの、麺とスープと具という物質に対してお金を払っているわけではないはずです。

空腹を満たすためだったり、おいしいものを食べたいからだったり、友達に誘われてその友達との時間を共有するためだったり、ラーメン研究家で知識と経験を増やすため、というような価値を求めてお金を払っているのです。

食事はもちろん空腹を満たし生きるための行為なわけですが、実はラーメンを買うという行為にはいろいろな価値が含まれているのです。
そしてその価値の基準となるものは価格だけではないのです。
安いランチで空腹を満たしたい、というだけであればラーメンでなくとも、牛丼でもソバでもハンバーガーでもよかったはずです。
その中でラーメンを選んだということは、他の店にはない価値があったからということなのです。

パソコン(PC)で考えてみると

もう一つ、別の例としてパソコン(PC)についても考えてみましょう。

多くの方はPCを購入されたことがあると思いますが、それは四角い物体がほしいわけではないはずです。

PCを使ってインターネットで情報を集めることだったり、メールをするためだったり仕事の資料を作るためだったり、写真データを保管しいつでも見られるようにすることだったり、そのような価値に対して対価を払っているのです。

BtoBで考えてみると

ラーメン屋、PCは消費者向け、つまりはBtoCの商品・サービスですが、BtoBでも基本的には同じです。

例えば、製造業で工作機械を購入するとします。
それは工作機械自体が欲しいからお金を払ったのではないのです。

その工作機械によって作業効率が上がったり、品質が向上したり、その結果として人件費を抑えられたり、売上向上につながったりする、その価値に対して対価を払っているわけです。

このように考えると、価値を提供する意味がわかってくるのではないでしょうか?

対価をもらうためには価値を提供しなければならない

どんなに機能が優れている製品であったとしても、その機能が顧客にとって『価値』がなければ売れないのです。

どんなに機能、スペックの高いPCであったとしても、ちょっとメールをするために使えればいいだけの人にとってはその『価値』がないのです。
ですので、そのような人は安いPCで十分だと考え、低スペックの安いPCを買うのです。

逆にオンラインゲームや動画編集をする人にとっては、スムーズに動かすために高スペックなPCは『価値』があるので、金額が高くても購入するのです。

自社の商品・サービスがどのような価値を提供できるか、そしてその価値を求めている人や企業が誰なのかということを考えることが重要なのです。
つまり、自社が提供する価値とその価値を求めているターゲットを明確し、そのターゲットに対して自社の提供する価値を最大化する提案(バリュープロポジション)を行うことで儲かるのです。

ぜひ顧客に提供する『価値』を高めることによって、儲かるということを理解し、実践してください。

つまりマーケティングとは何なのか?

そもそも「マーケティング」とは何でしょうか?
言葉自体はよく聞くと思いますが、その言葉の意味を説明することは難しいのではないでしょうか。

実は世の中にはいろいろな定義があります。
日本では、「売れる仕組みを作ること」と言い表されたりしますが、私自身は以下のように定義しています。

マーケティングとは、顧客に提供する価値を最大化し、その対価を得るための全ての活動である。

ですので、単なる「市場調査」や「広告・宣伝」「営業」を指す言葉ではありません。
マーケティングにとって、それらの要素は一部にすぎないのです。

他の様々な定義でも同様のことが述べられています。

様々なマーケティングの定義

他の著名人や団体の定義を見てみましょう。

「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」
アメリカ・マーケティング協会(2007年)

「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。」
日本マーケティング協会

「マーケティングの究極の目標は、セリング(売り込み)を不要にすることだ」
ピーター・ドラッカー

「マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」
フィリップ・コトラー

上記をご覧いただくと、単純な「市場調査」や「広告・宣伝」「営業」を指す言葉ではなく、企業活動の根幹に関わることだとご理解いただけるのではないでしょうか。
ただし、わかりにくく難しい表現も多いと思います。

そこで、わかりやすい言葉で、かつマーケティングの根本を表し、実践の場でも使えいやすくしたのが
「マーケティングとは、顧客に提供する価値を最大化し、その対価を得るための全ての活動である」
という言葉です。

価値を提供するという考え

価値を提供する。それが基本的な考え方です。

マーケティングの世界で有名な言葉に
ドリルを買う人がほしいのは穴である
というものがあります。

ドリルを買う人はドリルという製品そのものではなく、その製品によってもたらされる結果、『価値』がほしいわけです。
そして、その対価としてお金を払ってくれるのです。

つまり、どんなに機能が優れている製品であったとしても、その機能が顧客にとって『価値』がなければ売れないのです。

逆に、『価値』を高めることで受け取れる対価も増やせる、つまりは儲かるのです。

企業の目的は収益を上げることです。
そのためには商品・サービスを顧客に買ってもらう必要があります。
そして、顧客に買ってもらうためには、商品・サービスが顧客にとって『価値』がなければなりません。
また、その商品・サービスが、顧客にとって『価値』があることを伝えなければいけません。

マーケティングとは、企業活動全般にかかわる重要な活動だということを覚えておいてください。