顧客・競合・自社の相互関係を見極めよう(3C分析)

3c

自社のビジネスに密接に関係するのが、顧客と競合他社の存在です。

当たり前のことですが、自社の商品・サービスを欲しいと思う顧客がいなければ売れません。
そして、顧客がいたとしても、その顧客は自社と競合他社を比較し、どこから購入するかを決定します。
顧客の視点から見るとと、どれが自分にとって価値があるかを比較、判断しているわけです。

当然ですが顧客によって価値の基準が変わります。
そして、顧客によって比較する競合企業も変わる可能性もあります。
また、競合の状況によって、顧客が自社の商品・サービスを選ぶのか、競合他社を選ぶのかが変わります。

このように自社のビジネスにとって、顧客と競合他社というのは密接に関係しています。

3C分析

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から分析する手法は3C分析と呼ばれ、マーケティングにおいて基本となる考え方・フレームワークです。

3c

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つは密接に絡み合っています。
これは難しい理論というわけではなく、ごく当たり前の考え方だと思います。

当たり前の考え方なのですが、逆に当たり前すぎて深く考えてこなかった方もいるかと思います。
せっかくですので、もう少し詳細に見ていきましょう。

同じものでも顧客によって価値は変わる(顧客⇒自社)

まず、顧客と自社の関係についてみてみましょう。

当たり前ですが、同じものを売っていても買う人と買わない人がいます。
それは人によって、その商品・サービスに対して感じる価値が違うからなのです。

 

ランチのお店の例

例として、ランチを食べるときのことを考えてみましょう。

ランチを食べられるお店は、ソバ屋、定食屋、イタリアン、ハンバーガショップ、牛丼屋などいろいろな選択肢があります。
さらにはコンビニや弁当屋で、弁当を買うという選択肢もあります。
そのような様々な選択肢の中から、お客様はそれぞれの価値基準にあわせて選ぶのです。

ランチはさっさと終わらせたいという忙しいサラリーマンは、立ち食いソバ屋や牛丼屋など、早く食べられるところを選ぶでしょう。
同僚とゆっくりおしゃれな雰囲気で食事したいと思う女性であれば、おしゃれなイタリアンなどを選ぶことが多いでしょう。
安くてお腹いっぱい食べたいと考えている学生であれば、牛丼屋やご飯お代わり自由の定食屋を選ぶかもしれません。

このように顧客によって、求めている価値は大きく変わり、選ぶ店も変わってきます。
つまり顧客によって、競合も変わってきます。
だからこそ、ターゲット顧客を選定し、そのターゲット顧客に対して競合よりも自社の商品・サービスの方が価値が高いことを訴求すべきなのです。

立ち食いソバ屋なのに、ゆっくり食事を楽しめおしゃれな雰囲気を求める女性にいくら宣伝しても無駄なのです。

顧客は常に比較している(顧客⇒競合・自社)

ターゲット層に自社の商品・サービスを知ってもらったとしても、それで買ってもらえるわけではありません。
顧客は常に競合他社と比較し、自分にとってどちらが価値があるかを考えています。

立ち食いソバ屋の例

先ほど例に出したので、立ち食いソバ屋で考えてみましょう。

直接的な競合としては他の立ち食いソバ屋です。
近くに競合の立ち食いソバ屋があったとすると、お客様は値段や味、ボリューム、店の混み具合、店の雰囲気など様々な比較をするでしょう。
同じ立ち食いソバ屋であっても、これほどさまざまな比較ポイントがあります。

では、周りに他の立ち食いソバ屋がなかったとします。
直接の競合がないから安心かというと、そうとも限りません。

立ち食いソバの価値・魅力は、早い、安いということが挙げられます。
隣に牛丼屋があったとすると、早い、安いという同じ価値を提供しているため競合となってきます。
早くて安いランチ、という価値」求める忙しいサラリーマンは、ソバ屋と牛丼屋を比較するのです。

そして、牛丼屋ではなく立ち食いソバ屋を選ぶ理由としては、「牛丼よりカロリーが低いから」ということかもしれません。
そうであれば、「早い・安い」に加えて「ヘルシー」という価値を訴求すれば効果的なのかもしれません。

競合となるのは同じ物を売っている直接的競合だけではなく、同じ「価値」を提供している間接的競合も含まれていることを忘れないでください。

BtoBでも同じこと

この考え方はBtoBにおいても同じです。

例えば、自社が営業管理システム(SFA)を販売しているとします。
この場合、ターゲットは営業に力を入れている企業と考えられます。
下請け中心で、取引先が少数の企業にとっては、得られる価値が少ないかもしれません。

世の中には様々な営業管理・SFAの製品・サービスがありますので、顧客企業はそれらを比較します。
比較基準としては、機能や価格だけでなく、使いやすさ、メンテナンスしやすさ、サポート体制なども含まれてくるでしょう。
そして、自社の製品が、競合製品よりも価値が高いと判断されれば購入してもらえるのでしょう。

しかし、ここで顧客企業が本当に求めるもの(課題・ニーズ)を考えてみましょう。
それは、売上拡大であることが多いと思われます。

すると、ある企業は営業管理システムよりも、そもそも営業の教育の方が重要と考え営業研修を受けさせた方がよい、と考えるかもしれません。
あるいは、広告宣伝に力を入れたほうがよい、と考える企業もあるかもしれません。

顧客企業が求める価値(課題・ニーズ)によっては、研修会社や広告代理店も競合となってくる可能性がありわけです。
そうなると自社の営業管理システム(SFA)を選んでもらうためには、異業種の競合よりも、より高い価値を提供できるものであることを訴求する必要があります。

それは、「営業支援システムを導入することで、営業活動の効率化はもちろん、営業プロセスを見える化することで営業活動の継続的な改善が可能となります。短期的な売り上げではなく、長期的に売れる仕組みを構築できます」ということかもしれません。(あくまでも例です)

このように、顧客が変われば競合が変わってきます。
また、競合が変われば、訴求ポイントも変わってきます。

このように、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つは密接に絡み合っています。
経営戦略を立てる際にはまずこの3C分析を行ってみてください。

野村 昌平

野村 昌平

中小企業診断士/ウェブ解析士/VEスペシャリスト
/一般社団法人データマーケティングラボラトリー理事
「企業に選ばれる個人事業者を育成する」というミッションを掲げて活動中。

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