マーケティング戦略を考えるうえで、まず最初に考えなければならないのがターゲット顧客の設定、ターゲティングです。
つまり、誰に売るのか、を明確にするということです。
なぜターゲティングが必要かというと、3C分析の記事でも書きましたが、その人や企業によってその商品・サービスに対して感じる価値が違うからです。
せっかく売るのであれば、自社の商品・サービスの価値を高く評価してくれる人・企業に売る方がよいですよね。
例えば、立ち食いソバ屋は、早く安く食べられることを求めている忙しいサラリーマンをターゲット顧客に考えるでしょう。
立ち食いソバ屋が、ゆっくり食事を楽しめおしゃれな雰囲気を求める女性をターゲットにしていくら宣伝しても無駄なのです。
この例はちょっと極端ですが、自社の商品・サービスの価値を評価してくれるターゲット層に対してマーケティング活動を行わないと、効果的なマーケティングは行えません。
ターゲット顧客に対するマーケティング活動
そして、マーケティングは広告宣伝のことだけではありません。
マーケティングとは、顧客に提供する価値を最大化し、その対価を得るための全ての活動です。
ですので、ターゲット顧客に対して価値を最大化するために、商品開発、販路、広告宣伝、営業など、あらゆることを考える必要があります。
ターゲット顧客が価値を感じる商品を開発し、ターゲット顧客が認知しやすいメディアで広告宣伝を行い、ターゲット顧客が買いやすい売り方をするなど、様々なことを最適化する必要があるのです。
ターゲット顧客が変わるとそのすべてが変わってきます。
だからこそ、ターゲティングはマーケティング活動において、重要なのです。
では、どのような顧客をターゲットとすべきでしょうか?
それは、相思相愛の関係になれる相手、といっていいでしょう。
セグメンテーションを考える
ターゲティングをするうえでまず必要になるのが、顧客をグループに分けることです。
これをセグメンテーション(セグメント化)と言います。
よく20代女性をターゲットしている、なんてことを聞くと思います。
この時には、年代性別によってセグメンテーションしているわけです。
この20代女性、30代女性、20代男性というように分けたグループをセグメントと言います。
そして、その中で「このセグメントを狙う」、と決めることがターゲティングです。
セグメンテーションは属性ではなくニーズで
従来は上記のような、年齢性別、あるいは地域といった属性情報でセグメンテーションが行われることが中心でした。
企業でいうと、業種や業態、資本金、売上高、従業員数などでセグメンテーションすることが多いと思います。
しかし、20代女性と言っても、学生と社会人、専業主婦では欲しいものが違うはずです。
企業でも、中堅製造業と一口に言っても、ニーズは異なります。
特に情報があふれ、多様化している現代社会においては、人も企業も多様化しています。
そこで従来の属性で切るようなセグメンテーションでは、対応しきれなくなってきています。
では、何でセグメンテーションするべきなのか?
それはニーズ、課題です。
顧客はニーズを満たすため、課題解決のためにあなたの商品・サービスを購入します。
ニーズを満たす、課題解決することことに価値を感じ、それに対して対価を払うのです。
したがって、業種や企業規模ではなく、「こうしたい」「こういう課題を解決したい」というニーズで切るべきなのです。
ニーズを考えた結果として属性でセグメンテーションすることもある
そのニーズでセグメンテーションする際に、結果として業種や企業規模も関係してくるかもしれません。
例えば「組織のコミュニケーションを活性化するITツール」は、少人数の企業だともともとコミュニケーションが活発なので価値が提供できず、人数が多くて縦割りの組織になっている大企業の方が価値を感じてくれるかもしれません。
その場合は、従業員数もセグメンテーションの切り口となるでしょう。
しかし、それはあくまでもニーズを考えた結果として、その属性を選ぶということです。
同じに聞こえるかもしれませんが、最初から属性で選ぶのとでは、考え方がまるで違います。
そこには、「どのようなお客様であれば自分たちの商品・サービスが価値あるものとなるのか」という顧客目線が含まれているからです。
お客様目線で考え、お客様にどのような価値を提供できるかを突き詰めて考えれば、相思相愛になれるターゲット顧客が見えてくるのではないでしょうか。