お客様が求めているものは、何なのかについて考えてみましょう。
お客様は製品そのものが欲しいのではなく、得られる価値を求めているのです。
別の記事「マーケティングとは、つまり何なのか?」でも書きましたが、マーケティングの世界で有名な言葉があります。
「ドリルを買う人がほしいのは穴である」
この言葉は1968年に出版されたセオドア・レビット教授の著書「マーケティング発想法」で紹介されています。
マーケティングの世界でもっとも有名とも言える言葉となっています。
ドリルを買う人はドリルという製品そのものではなく、その製品によってもたらされる結果、『価値』がほしいわけです。
そして、お客様はその対価としてお金を払ってくれるのです。
したがって、物を売るのではなく、どのような価値を提供しているかが重要であり、その価値を提案すること(バリュープロポジション)が必要となってくるのです。
もう少し身近な例で
先ほどのドリルは普段買うものではないのでイメージしにくいかもしれませんね。
もう少し身近な例でみてみましょう。
では、誰もが絶対に行う食事について考えてみましょう。
ラーメン屋で考えてみると
例えば、ランチにラーメン屋さんでラーメンを食べるとします。
ラーメンを食べるためにみなさんはお金を払います。
それはなぜでしょう?
それはラーメンそのもの、麺とスープと具という物質に対してお金を払っているわけではないはずです。
空腹を満たすためだったり、おいしいものを食べたいからだったり、友達に誘われてその友達との時間を共有するためだったり、ラーメン研究家で知識と経験を増やすため、というような価値を求めてお金を払っているのです。
食事はもちろん空腹を満たし生きるための行為なわけですが、実はラーメンを買うという行為にはいろいろな価値が含まれているのです。
そしてその価値の基準となるものは価格だけではないのです。
安いランチで空腹を満たしたい、というだけであればラーメンでなくとも、牛丼でもソバでもハンバーガーでもよかったはずです。
その中でラーメンを選んだということは、他の店にはない価値があったからということなのです。
パソコン(PC)で考えてみると
もう一つ、別の例としてパソコン(PC)についても考えてみましょう。
多くの方はPCを購入されたことがあると思いますが、それは四角い物体がほしいわけではないはずです。
PCを使ってインターネットで情報を集めることだったり、メールをするためだったり仕事の資料を作るためだったり、写真データを保管しいつでも見られるようにすることだったり、そのような価値に対して対価を払っているのです。
BtoBで考えてみると
ラーメン屋、PCは消費者向け、つまりはBtoCの商品・サービスですが、BtoBでも基本的には同じです。
例えば、製造業で工作機械を購入するとします。
それは工作機械自体が欲しいからお金を払ったのではないのです。
その工作機械によって作業効率が上がったり、品質が向上したり、その結果として人件費を抑えられたり、売上向上につながったりする、その価値に対して対価を払っているわけです。
このように考えると、価値を提供する意味がわかってくるのではないでしょうか?
対価をもらうためには価値を提供しなければならない
どんなに機能が優れている製品であったとしても、その機能が顧客にとって『価値』がなければ売れないのです。
どんなに機能、スペックの高いPCであったとしても、ちょっとメールをするために使えればいいだけの人にとってはその『価値』がないのです。
ですので、そのような人は安いPCで十分だと考え、低スペックの安いPCを買うのです。
逆にオンラインゲームや動画編集をする人にとっては、スムーズに動かすために高スペックなPCは『価値』があるので、金額が高くても購入するのです。
自社の商品・サービスがどのような価値を提供できるか、そしてその価値を求めている人や企業が誰なのかということを考えることが重要なのです。
つまり、自社が提供する価値とその価値を求めているターゲットを明確し、そのターゲットに対して自社の提供する価値を最大化する提案(バリュープロポジション)を行うことで儲かるのです。
ぜひ顧客に提供する『価値』を高めることによって、儲かるということを理解し、実践してください。